デ・ジ・エミリオ
200X年。ついにタイトーはグッズショップを展開することになった。 ショップに必要なのは、やはりマスコットキャラクター。ならば、タイトー で人気のこのキャラを使うしかあるまい! その日、ついに魔都「アキハバラ」に第1号店が開店した。 エプロンドレスにねこみみ・ねこしっぽを着けた、そのマスコットキャラ兼 店員の名は! 「デ・ジ・エミリオで~す! ショップ・タイトーをよろしくお願いしますにょ~!」 =================================== デ・ジ・エミリオ by Master =================================== 「ふう、やっぱり開店セールはお客さんがいっぱいで大変だにょ」 そう言って肩をたたくデ・ジ・エミリオ(通称えみこ)。今はちょっとした アイドルタイム(お客さんが少なくなる時間のこと)であった。 「ぱてぃこちゃん、商品整理をお願いするにょ」 「わかったにゅ」 デ・ジ・エミリオ(めんどうなので以下エミリオ(笑))の指示に従うのは、 もうひとりの店員「ぱてぃこ」こと「プ・チ・パティ(以下パティ)」であっ た。 パティが商品整理をしていると、出入口に不審な人影を見つけた。 「えみこさん、何かヘンなひとがいますにゅ」 「お客さんなら、ちゃんと並んでほしいにょ」 「あんな不審なお客さんはいないゲマ」 最後のセリフは3人目の店員、ウェンディーであった。なぜか丸くて黄色い 着ぐるみを着ているのだが(笑)。 「……てゆーか、なんであたしがこーゆー役なんだか……」 それはさておき(笑)。 そのセリフを聞いたエミリオは、判断をくだした。 「ということは、万引き野郎だにょ。目からビーム!」 出入口に向けて、エミリオの目から一筋の光が飛びだした。そう、エミリオ は特訓によってサイキック能力を高めたため、目からシーカーレイを撃てるよ うになっていたのだった。 光が出入口付近に着弾(?)し、爆発を起こした。 「あちゃちゃちゃちゃ! あ、あぶないじゃないのっ!」 煙の中からレオタードのような服を着て、うさみみを着けた女性が飛びだし た。 「万引きではなかったみたいですにゅ」 「でも、やっぱりお客さんでもないみたいゲマ」 「つまり、単なる変質者だにょ。目からビー……」 「ええい、その短絡思考はやめんかっ! 自己紹介くらいさせなさい!」 「変質者のくせにえらそうだにょ」 「変質者ではないとゆーに!」 女性はひとつ咳払いをすると、豊かな胸を張りつつ、自己紹介をはじめた。 「わたしの名は『ソ・ニ・アン・ローズ』! 隣に開店した『ノアーズ』のマ スコットキャラ兼アキハバラのアイドルよ! 今日のところはこの店のお客さん をいただきにきたわ!」 「はいはい、『うさだソニア』さんはさっさと自分の店に戻るにょ」 ポーズを決めていた「ソ・ニ・アン・ローズ」ことソニアは、エミリオのそ の声にズッこけた。 「なぜわたしの本名をッ! はっ、まさかストーカーがッ!」 ちなみに、ソニアの胸には店の名札が付いていたりするのだが、それはそれ。 半分あきれた顔でエミリオがたずねる。 「で、結局何しに来たんだにょ?」 「ひとの話きーとんかいっ! この店のお客さんをいただきに来たのよっ!」 そう言ってソニアは店内にビラをまいた。 ビラはひらひらと宙を舞い、店内にいたオタク^H^H^Hお客さんたちに降りか かる。 そのビラを見たお客たちは、おおっ!と声をあげ、我先に店を出ようと走り はじめた。 「ななな、何があったんだにょ!」 「……えみこさん、これだにゅ」 パティが差し出したそれは、ソニアがばらまいたビラであった。 「こ、これは何だにょ~!」 『本日『ノアーズ』で1万円以上お買い上げのお客様に 美人店員の『ぱふぱふ』大サービス中!』 そう、そのビラにはそう書かれていたのであった。 「ホーッホッホッホ! お客さんはいただいていくわよ!」 「こんなことしてはずかしくないのかゲマ」 「ふっ、オトナの女性にはこれくらいなんてことないわ。つるぺたふたりに実 は男(笑)のそっちには、できないサービスでしょ!」 実際、それくらいのサービスがないと生き残れないであろう魔都アキハバラ であった。 「えみこ、どーするゲマ」 「ううむ、こうなったら……」 エミリオがお客に向かって声をあげる。 「うちで買ってくれたお客さんには、 ぱてぃこが『ふきふき』大サービスだにょ~!」 =================================== ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ! (しばらくお待ちください) =================================== 「えみこ、どーするゲマ」 「ううむ、こうなったら……」 「あのぉ……」 パティがおずおずとエミリオにたずねる。 「『ふきふき』って、なんですかにゅ?」 =================================== ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ! (しばらくお待ちください) =================================== 「えみこ、どーするゲマ」 「ううむ、こうなったら……」 「なんか、さっきも同じセリフを聞いたような気がするにゅ」 「それは気にしちゃいけないゲマ(汗)」 大宇宙の意志には逆らわない方がいいぞ、ぱてぃこ(笑)。 それはさておき、エミリオは突然店の外に出ると、隣のノアーズ前に立った。 一同も外に出て、エミリオが何をするのかを見守っている。 「こうなったら実力行使! 『目からアークエンゼル』ッ!」 エミリオの目から放たれた光が、ノアーズの建物を集まったオタク^H^H^Hお 客と共に吹き飛ばした。 アキハバラにおいて、店ができたりなくなったりするのは日常茶飯事である。 「ああっ! お店がぁ!」 茫然とするソニアの前で、エミリオはVサインと共に言い放った。 「悪は必ず滅びるんだにょ!」 こうして、デ・ジ・エミリオは見事店を守りきった。 そして今日もまた、アキハバラにその声が響きわたる。 「いらっしゃいませ~! ショップ・タイトーにようこそだにょ~!」 Fin
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