疑惑
=================================== 疑 惑 ※この作品は、リーフ製コンピューターゲーム「To Heart」のパロディです by Master =================================== いつもと変わらない朝。 めずらしく早く目覚めたおれは、早めに家を出ることにした。あかりとは途 中で会えるだろう。 「ヒ~ロ! おっはよー!」 後ろから志保の声が聞こえてきた。振り向いておう、と答える。 志保のヤツは、なぜだかおれの頭をじろじろと見ていやがる。寝グセはちゃん と直して来たはずなんだが。 「なんだよ、おれの頭がどうかしたのか?」 「……ねぇ、ヒロ、ちょっと聞きたいんだけど……」 「なんだ?」 「……その頭、カツラってホント?」 ギクッ! ……って、なんだこの擬音は! 違うだろ! ズルッ! っと、おれはズッこけた。 「んなわけねーだろ! どっから聞いたんだよ、そんなこと」 「そりゃもちろん、志保ちゃんネットワークなんだけどさぁ」 志保のヤツはいまだに疑惑の目でおれの頭を見ている。しょーがねぇなぁ。 「それじゃ、さわってみろよ」 おれは志保に向けて頭を突き出す。志保はくしゃくしゃとおれの髪をかき回 しはじめた。 「あ、ホントだ。……へぇ、あんたの髪って、けっこうきれいなのねぇ」 「そりゃ、最新型だからな」 「は?」 うわっ、ヤバイ! ……じゃなくて、何言ってるんだおれは! 「と、とにかく、本当のことはわかっただろ!」 「うーん、確かな情報だったんだけどなぁ」 なんかまだ疑われているような気がする。そんなわけないだろうに、まった く……。 「志保、浩之ちゃん、おはよー。今日はふたりとも早いね」 天の助け! その声に、おれと志保はあかりの方を向いた。 「あれ? あかり、髪形おさげに戻しちゃったの?」 「え?」 確かに、あかりの髪形は1年のころのおさげだった。最近はずっとおかっぱ だったから、なんか違って見えるぜ……。 「あ、いっけない!」 そう言ったかと思うと、あかりはすぽんと髪を外した…… って、おい! かばんをがさごそと探し、取り出した新しい髪をかぶると、あかりはいつも のおかっぱリボンに戻った。 「そっか、今はしおり1だったね。てっきりしおり2だと思っちゃった」 (しおりってなんだーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!) おれと志保は心のなかで叫ぶのであった。 おしまい
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